校正記号について考えてみる

(他人様の)ブログペットに「組版が……」といわれて思わず“組版”をキーワードに各地を転々としていたら「修正が赤字のとおりになっていない」と言われて「「それは赤字の書き方というか指示の仕方が悪いんじゃないですか?」といおうと思った」けどやめた、というエントリーがあった。

そういや、昔むかし、この業界に入りたてのころ、

「トルツメ」と指示したら文中に「トルツメ」と書かれたゲラが返ってきた。

という笑い話を教えられた。当時の写植屋やオペレータはコストを抑えるために“日本語のできる日本国籍を持たない労働者”を雇っていることも多かったので、そういうヘンなことになりやすかったのかもしれないし、テクニカルタームを習得していない写植屋やオペレータだったら、国籍を問わずあり得る話だ。

要は“独りよがりな指示は事故のもと”という訓戒が含まれている話なんだけど、おそらく相変わらずなんだろうなあ、と忖度する。

実は校正記号って、SQLと同じように(という例の出し方がすでに逝けてないわけだけど)微妙な方言がある。方言というか、ローカルルールというか。そのため“即戦力”ということで組織に迎えられた編集者は、前の職場で培ったローカルルールに則って校正を行ない、他の編集者とは微妙に異なる赤字の入れ方をするようになる。

そんなの最初の入社段階で仕込めばいいだけの話だけど、これがなかなかうまくいかない。仕込むほうも実はアヤフヤだったり、仕込まれるほうは依怙地だったりと、歯車がなかなかかみ合わない。そういや、おれが最初についた編集者は「エディターズスクール出身の編集者は依怙地だから使わない」と明言していたけど、それはたぶん偏見。

そんな状況が重なり合って、組版屋のローカルルールと編集部(というより編集者)のローカルルールが(大枠では一定でも)混在するようになってしまって、まともな赤字すら入れられないようなコトになってしまったのかなあ、などと思う。

たとえば、

は「文字の転倒を修正する」記号だから、今のDTP全盛時代では縦組み二桁半角数字の修正くらいでしかお目にかかれないような気がするのだけど、トルツメの意味で使用していたり。

で、気が利くDTP屋さんだと、魚心に水心で希望通りの修正をしてくれるから事態はますますややこしくなる。だって直ってるんだから「転倒修正記号」で「トルツメ指示」もOKじゃん、ということになる。

たぶん、40代半ばから30代前半にかけての編集者が、そういうまともな伝統をきちんと継承してこなかった、あるいは継承できなかったのが原因かな、とも思いつつ、それらをDTPの普及でシロートが大量に参入したせいにすると一番ラクチンかもなあ、などと胡乱なことを考えたり。

まあ、Web時代なんだから不安になったらリファレンスをあたれというこった。

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