各所で話題になっている人工知能と対戦してみる。
こういうのは、「はい」とか「いいえ」といった選択肢の中から回答を選ぶときに、こちらの先入観を排して可能性だけをもとにして回答すると勝てるような気がする。ということでその仮説を立証すべく実践することに。
たとえば「銭湯」を思い浮かべた場合、Q1は当然「その他」になる。で、次の質問が「それから音が出ますか?」になったんだけど、これ、銭湯から音は出るかというと、出てるとも言えるし出てないとも言える。人為的な音であれば、桶が床に当たる音だったり湯を流す音だったりするけれど、四六時中音が出ているとは言い難いから、ここはとりあえず「ときどき」を選択する。
で、難しいのは次。「それはプラスチックでできてる?」。完全にプラスチックでできた銭湯などあるわけないので、普通は「いいえ」を選択するのだろうが、いっさいプラスチックを使用していない銭湯などあるわけない。選択肢に「部分的に」とかがあればいいのだけど、それはないので、「わからない」か「ときどき」を選択する以外ない(でもなあ、“ときどき”プラスチックでできてる銭湯ってのはなあ)。というわけで「わからない」を選択する。そのあと「それは店で買えるか」という質問が出るが、これも「銭湯」そのものを買おうと思ったら不動産屋などの“店”で買う以外ないだろうし、入浴券は(近隣の)店でも購入できるところがあったりするのだから、「はい」。まあ、百歩譲っても「おそらく、そう」。次の「レクリエーションで使える?」はもちろん「はい」で、次の「それを開けることができますか?」は(銭湯の戸を)開けることはもちろん(湯船を)空けることもできるので「はい」。
で、続いて「それって、一般家庭にあるものですか?」。ツムラさんの顔を立てると「ある(ことになる)」ので「ときどき」なのか。まあ「(一般家庭でも手軽に銭湯気分とはいうけれど)たぶん、ちがう」という選択もアリっちゃーあり。今回は「たぶん、ちがう」を選択。
「それは電気で動くもの?」という質問は、銭湯自体が電気で動くか、という字義通りの意味なら「いいえ」だよな。ハウルの城じゃないんだし。続く「夜に使うものですか?」という質問はどうしましょう。通常、昼の12時くらいから開いてるから「いいえ」でもいいけど、夜になってから来る人もいるので「一概に言えない」が正しいような気もするけど、それは選択肢にないので「わからない」を選択。
「補充することができますか?」という謎な質問は、“銭湯を”補充できるかどうかを考えて対処することにする。果たして銭湯は補充できるのだろうか。補充というのは“不足を補って満たすこと”なわけだけど、銭湯が不足して暴動が起きそうだ、などという話は久しく聞いたことがない。むしろ銭湯不足で暴動が起きた事例など見当たらない。ということは不足してない(というか不足したことがない)と考えるべきで、そうなると補充できるかどうかは不明。不足が確認された途端、国を挙げて全国各地に銭湯建築が展開されるかもしれず、それが可能なことはスパブームによって一連の民間企業が全国各地にナントカスパを建築したことから立証できる。というわけで「はい」を選択。
続く「それを毎日つかいますか?」という質問は「ときどき」と回答したいところをぐっとこらえ「わからない」を選択。だって、一般的に毎日使うヒトもいるだろうし、自宅の風呂が壊れてしょうがなく使うという、一生にあるかないかよくわからない確率で銭湯に来る人もいるだろうし。「旅行で使うものですか?」は微妙だなあ。出張で行った先のビジネスホテルの風呂がしょぼいので銭湯に行くとかフツーだったこともあるけど(って、それいつの時代だよ)、まあ、ここは無難に「たぶん、ちがう」を選択する。
「それにタイヤが1つ以上ついていますか?」「一緒に遊ぶことができますか?」は「いいえ」を、「熱を発するものですか?」は「はい」を選択。「プレゼントであげるものですか?」には、銭湯の入浴券のことを考えると「ときどき」と答えたいところだが、銭湯そのものはプレゼントできないから「いいえ」を選択。
で、「それを家で見つけることができますか?」が難問。銭湯そのものは、そりゃ例のツムラさんの顔を立てれば「はい」だし、建造物としての銭湯ならミニチュアを平気で購入できたりするご時世なので、「おそらく、そう」が適切。ツムラさんの顔はすでに立てたので、今回は「おそらく、そう」を選択したら、「娯楽に使うものですか?」と訊かれた。もちろん「ときどき」が正しい。汗を流すなどの実用目的以外にも“神田川ごっこ”や女装して女湯に潜入するなどの娯楽(えー)にも使用されていることは各種報道によって皆さんご存知のとおり。
で、提示された解答が「ライフル銃」。もちろん全然違う。「ハズレ!」をクリックしたら、悔しかったのか「それって100年前からあるものですか?」などと訊いてきた。100年どころか、紀元前からある(公衆浴場はね)のでもちろん「はい」を選択。
「価値があるものですか?」という質問はかなり悩む。たしかに価値のある銭湯もあるし、ビルの一階部分をコインランドリーと銭湯の併せ技にした味気のない銭湯もあるし。そのあたりを考慮すると「ときどき」が正しいような気もするけれど、銭湯の価値ってねえ……。湯の成分とか効用とかで計るべきか造作(建築物)で計るべきか。個人的には洗い場の広さとか、鏡とシャワーの有無、コーヒー牛乳の冷え具合と値段などで競いたいところだけど、そんなこと言ってると埒があかないので、とりあえず、ここは建築物の価値というところで「ときどき」を選択。そしたら「リボルバー」を提示された。もはや相手は銃しか頭にないらしい。あ、人工知能だから頭はないのか。
「ハズレ」を選択すると「 それは持ち歩くものですか?」。んー。どうなんだろうか。常時携帯できる銭湯があればそれはそれで楽しいのだけれど、やっぱり「いいえ」かな。続く「暗闇で使うものですか?」は、なんか真っ暗な銭湯で天窓から差し込む月の光を眺めつつ湯船に浸る、というシーンがあったような記憶があるので、「ときどき」と答えたいけれど、そんなあやふやな記憶で答えていいのだろうか。むしろローマ時代の公衆浴場のことを考えて「いいえ」を選択すべきではないか。など心が千々に乱れるが、泣く泣く妥協して「たぶん、ちがう」を選択する。
「それは人を喜ばせるものですか?」ってのも微妙だなあ。風呂上がりの女性は洋の東西を問わず、喜ばしい眺めだと想像できるけれど、それは“銭湯”じゃないしなあ。むしろ場所は取るわ(今はそうでもないけど)火事を起こしやすいわ水は使うわ風呂持ちの近隣住民にとっては喜ばしくないかもしれない。一方で風呂なしの近隣住民にとっては喜ばしいところであるわけだし、ガキどもに社交性を教えこむ場所としての機能もあることを考えると地域住民みんなが秘かに喜ばしいのかもしれない。ガキにとってはいい迷惑だけどな。というわけで「おそらく、そう」を選択する。
「石で出来ていますか?」という質問も難しいなあ。「プラスチックでできてる?」というのと同じ質問だと考えて「わからない」を選択。
で、提示されたのが「暖炉」。んー。「ハズレ」なんだけど「近い」でもいいような気がするのは、おそらく“ヒトを暖める”という機能が銭湯にもあるせいだろう。また、暖炉で湯を作り、それで体を洗うということを考えれば、これはもう立派な風呂である。大きな相違点は、
| 銭湯 | 暖炉 |
| 公衆 | 非公衆 |
| サンタクロースが登場できない | サンタクロースが登場できる |
といった程度である。というわけで「近い」を選択。次の質問が「四角いものですか?」なんだけど、これは当然「ときどき」ですね。次の「それを人前で使いますか?」は、もちろん「はい」。で、提示されたのが「サウナ」。おぉ。すごいすごい。ドキドキしながら「近い」を選択すると「ソファより大きいものですか?」という質問。もちろん「はい」を選択すると、今度は「ピアノ」を提示された。どういう思考回路をしているのだ。
ピアノと銭湯との共通点を探してみたものの、“引っ越しが大変”くらいしか出てこない。「ハズレ」を宣告すると「気球」を提示してきた。んー。たしかに気球も銭湯も上っていくし、上りすぎると意識が遠くなるところは似てるなあ、しかもその後、落ちるし。というわけで「近い」を選択……、したら「参りました」と白旗が上がった。
人工知能がリストアップしたのは16キーワード。一番近いのは「ジャクジー風呂」か。いずれにせよ違うので、「銭湯」と入力して検索したら、エラーが出てしまった。大変すまんことをしたような気がする。